クラウドと業務アプリのライフサイクルを 1 台のクライアントで両立させるには


​クラウドサービスは進化が早く、常に最新の技術を利用するため、利用者はクラウドサービスにアクセスするためのブラウザーなどのアプリケーションを常に最新に保つことが求められます。これはどこのベンダーのサービスを利用しても同じです。一方、業務アプリケーションは、一度構築したら 10 年は使い続けたいという企業もあるかもしれません。業務システムにブラウザーや .NET Framework などのエンジンを使ったアプリケーションからアクセスしている場合、画面表示や動作を同一に保つために、それらのコンポーネントは更新プログラムも含めて更新せずに古いままクライアントPCの中に保持しているケースも多いようです。しかし、一方で最新のアプリケーションを求められ、一方で変わらないことを求められる同一のアプリケーションを一台のクライアントPCに共存させて使う方法があるでしょうか。今回の記事では、これを実現するためにどのような方法があるかについて見ていきます。

 

ブラウザー業界の動向

近年は、従来の Windows PC やMac OS からのアクセスに加えて、スマートフォンやタブレットデバイスから Web ページにアクセスすることも増えてきました。それに伴い、ブラウザーについても様々な選択肢が増えてきており、Windows PC 上でも Internet Explorer に加えて Firefox や Chrome などのブラウザーも使われるようになってきました。こうした、様々な種類のブラウザーやデバイスから Web ページにアクセスをしたときに、プラグインがなくてもすべて同一の見た目を提供できるように、新たな時代の Web 標準が形成されつつあります。

具体的には、HTML5 と呼ばれる、HTML の 5 回目の大幅な改訂版が、現在正式勧告を前にした最終段階にあります。HTML5 は、2008 年にドラフト仕様が発表され、JavaFX、Adobe Flash、Microsoft Silverlight などのプラグインがなくても、同等のインタラクティブ性、動画、音声、グラフィックなどマルチメディア要素を実現できるように策定されています。HTML5 の仕様の一部は、近年リリースされているブラウザーに取り入れられ始めており、Internet Explorer だと 9 以降に実装が進んでいます。また、このような Web 標準の進化を受けて、各社のブラウザー開発サイクルも短くなる傾向にあり、メジャーバージョンアップするまでの間隔も 6 週間のものもあるなど、様々なバージョンが乱立する傾向にあります。

Internet Explorer 9 についても、HTML5 のWeb標準を取り入れ他のブラウザーとの相互運用性が向上したり、JavaScript エンジンの改訂やハードウェアアクセラレーションによるパフォーマンスの大幅向上が行われると同時に、セキュリティについても様々な改良がくわえられ、Internet Explorer 8と比べて技術的に大きく進化しています。Internet Explore 10 は、Internet Explorer 9 の路線を継承しつつ、Web 標準への対応の強化 (HTML5、SVG 1.1 2nd edition, CSS, Web performance, Web Applications, JavaScript で対応率 100% を達成) とパフォーマンスの向上が行われており、路線を継承したままの改良がおこなわれています。

Internet Explorer テスト センターでは、7,589 のテスト ケースを用いて W3C および ECMA の国際 Web 標準準拠に関するテストを実施

 

クラウド サービスの利用には最新のブラウザーテクノロジの利用が最適

世の中で提供されている様々なクラウド サービスも、このようなブラウザー業界の動向に敏感です。最新のテクノロジーを使って最先端の機能、エクスペリエンスを提供してく、というのが、クラウド サービスのコンセプトのひとつでもありますので、常に最新のブラウザーに対応していく努力がされています。これにより、Webベースのメールアプリケーションでオフラインモードが実現したり、Webベースのポータルへのファイルのドラッグ&ドロップが実現できたりします。Office 365 においても、これらのことが実装され、Internet Explorer 10 であれば Outlook Web App におけるオフラインモード、SharePoint Online のドキュメントライブラリへのファイルのドラッグ&ドロップでのアップロードが実現されています。

一方、ブラウザーは常に最新版が求められることが定着してきました。高速リリースサイクルで運用されている Firefox や Chromeについては「最新安定版」がシステム要件、というのが通常です。Internet Explorer 8についても、Google Apps は既にサポートを終了し、Office 365 についても 2014 年 4 月でサポートが終了します。

 

インターネット端末にはセキュリティ上、最新の IE が推奨

加えて、インターネットを利用するにあたり、近年は様々な新しいタイプの攻撃も出現しています。たとえば、ニュースサイトや政府系サイトなど、仕事上もよく利用する可能性がある善良なサイトがハッキングされ、不正なコードが埋め込まれるといった事件も頻繁に起こってきているため、アクセス可能なサイトをプロキシサーバーで制限するといった手法ではなく、クライアントPCのレベルでこのような脅威に対応できる最新のバージョンの Internet Explorer をインストールして対策をしておくことが望まれます。ここでは詳しく解説しませんが、Internet Explorer 9 や 10 では、新しいタイプの攻撃にも対抗できるようなセキュリティ対策が施されています。また、バージョンだけではなく、ブラウザーの脆弱性を埋めるための更新プログラムについても、常に最新のものを Windows Update 経由で適用しておくことが推奨されます。

 

今検討すべき項目は何か

今まで見てきましたように、ブラウザー業界とクラウド サービスはインターネット ブラウジング環境の大きな変化に対応すべく、大きな進化を遂げています。HTML5 は 2014 年に正式勧告が予定され、また 2014 年は 4 月に Windows XP と Internet Explorer 6 の延長サポートが終了する、というひとつのマイルストーンを迎えます。そのため、古い業務システムと最先端のクラウドサービスの共存を考えているお客様が、将来のあるべきシステムの姿をいつ考えればいいかというと...そうです、今です。最新の Internet Explore 10、もしくは、Windows 8.1 に搭載予定の Internet Explore 11 のタイミングで、これらの 2 つのシステムの共存についての将来像を検討することをお勧めします。

 

それでは、どのような選択肢があるか

それでは、業務システムとクラウド サービスによる快適な生産性を両立させるには、どのような方法があるのかについて見てみましょう。

 

1. 最新のブラウザーにアップデートする

前述しましたように、最新のブラウザーには様々な技術上・セキュリティ上のメリットがあります。Web標準の仕様がひと段落する今のタイミングで、最新のブラウザーにアップデートすることを検討することをまずお勧めします。

 

2. 互換モードを使う

ブラウザーには過去のブラウザーとの互換モードがついています。 これにより、過去の方法と同様のレンダリング手法でWebページが表示され、レイアウトの崩れや動作の違いを最小限に抑えることができます。互換性に関する情報は Internet Explorer TechCenter で入手することができます。

 

3. リモートデスクトップや VDI などの仮想化技術を使う

 クライアント PC と別の PC を用意して、そこにログインするための仮想化の選択肢が増えてきています。サーバー OS による単一イメージをすべてのユーザーで共有して使うリモートデスクトップ (RDS) や、デスクトップOSをユーザーごとのイメージで利用できる VDI を利用することができます。これらの環境には、クライアント PC からリモートで接続することが可能です。ローカルの環境と仮想環境で、一方は最新の環境、一方は古いシステムとの互換性を考慮した環境を構築して、ひとつの端末から環境を使い分けることができます。

 

4. Windows To Go を使う

Windows 8から用意された「持ち歩ける起動 USB」を利用する手もあります。互換環境をクライアント PC にインストールしておき、クラウド サービスを利用するときは、Windows 8の入った USB キーを PC に差して最新の環境を起動する、といった方法を取ることも可能です。

 

5. 端末を分ける

デバイスが安くなってきている今、これも一つの選択肢として検討に値するのではないでしょうか。元々業種業態によっては 2 系統のシステムを使い分けているお客様もいらっしゃると思います。安価に導入できるタブレットデバイスで最新のクラウドサービスを利用して、デスクトップPCでは業務システムを利用する、といったことも現実的になってきています。Surface に代表される Windows 8 タブレットであれば、キーボードを利用したり、Office を利用することもできるため、通常の PC と同様に使うことも可能です。

 

早めの検討をお勧めします

このように、新旧の環境を共存させるには、いくつかの選択肢が存在します。どれがよいかについては、お客様の規模、置かれている環境などによって異なってきます。それぞれの選択肢についての良し悪しについては、この記事の中では深く論じませんが、この先のことを考えると、いかに最新のテクノロジーを利用しつつ旧来のシステムとの互換性を保つか、ということについて今のタイミングで検討されることをお勧めします。Windows XP から Windows 7/8 への移行を終えて Internet Explore 8 を引き続きご利用されているお客様もいるとは思いますが、HTML5 の進化がひと段落するタイミングでもあるので、業務システムのユーザーインターフェイスの改訂をご検討されてみてはいかがでしょうか。

ブラウザーの互換性についてより詳しく知りたい場合は、Internet Explorer TechCenter を訪れることをお勧めします。

 

 

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