事業所グローバル展開時の IT インフラ・考 (3) ~ Office 365 グローバル展開の導入事例


前回は「事業所グローバル展開時の IT インフラ・考 (2) ~ クラウドのグローバル展開における法的課題の検討」で、クラウドのグローバル展開時に出てくる法的課題について確認をしました。今回は「事業所グローバル展開時の IT インフラ・考」シリーズの最終回ですが、お客様がOffice 365を使ってメールシステムをはじめとする情報インフラのグローバル展開を行うに当たって、便利な機能やサービスをご紹介しつつ、これらの機能の一部をご活用されているお客様の事例をご紹介します。

 

多言語対応

グローバル展開を考えるに当たり、まず重要になってくるのは言語対応です。言うまでもありませんが、日本語や英語だけでなく、世界各地の様々な言語でユーザーインターフェイスが表示できたり入力に対応できるようになっている方が、現地の方の生産性もあがり、実際に活用されるシステムとなります。Office 365の場合は、2012年6月末のアップデートで、32か国語、88の国と地域で提供されており、世界中の40億人が対象になっています。

 

多言語サポート

多言語対応はもちろんユーザーインターフェイスだけでなく、管理者がサポートを受けるテクニカルサポートの窓口も多言語対応です。Office 365では、21言語でのサポートを提供しており、世界各地の管理者が日本語、英語だけでなく様々な言語でサポートを受けることができます。サポートは24時間365日の対応で、問題の優先度によらず何回でも電話をかけることができます。基本的なテクニカルサポートの費用はサービス料金に含まれています。また、日本語サポートについても、日本国内の拠点から品質の高いサポートを提供します。

 

中国での利用

日本から海外展開をする製造業や小売流通業のお客様であれば、中国への事業所展開は必ず行っているものと思います。様々な規制や決してよくない通信事情の中で、利用できるクラウドサービスには制限がかかることがあります。Googleのように中国から撤退をしているベンダーもある中で、マイクロソフトのOffice 365は中国国内でご利用になっている日本企業のお客様が多数いらっしゃいます。たとえば丸紅株式会社の事例 (以下、丸紅) があります。丸紅では、すべての海外拠点67か国120拠点でOffice 365を展開済みで、これには中国の13拠点も含まれています。また、本田金属技術株式会社の事例 (以下、本田金属技術) でも、グループ各社にOffice 365をグローバル展開していますが、中国拠点でも利用されています。

 

マルチフォレストAD/単一・複数拠点のデータセンター利用

最後のトピックとして、世界各国に事業所がある場合に、テナントやディレクトリなどのインフラをどのように設計して構築していくのか、そしてその際に何を考慮しないといけないのかについて解説します。

日本航空株式会社の事例、トヨタ紡織株式会社の事例、本田金属技術の事例など通常の事例では、事業所は世界各地にあったとしても世界中でテナントを1つだけ利用しています。テナントが1つであることにより、システムを単純化することが可能です。Active Directoryが各事業所または地域に分かれている場合は、これを機会に統一する、リソースフォレストを構築して単一のディレクトリを作る、Forefront Identity Manager (FIM) 関連の仕組みを使って単一化する、などの対応が可能です。

一方、丸紅では異なるアプローチを取っています。世界中で3つのデータセンター (アジア、米国、欧州)にそれぞれの地域のユーザーを分散させて、それぞれのテナントと地域のActive Directoryを同期させています。地域のActive Directoryについては、人事システムとつながった統合アカウント管理システムと連携して管理をしています。


※丸紅株式会社のOffice 365事例より抜粋

 

地域ごとにデータセンターを分けると、以下のようなメリットがあります。

  • 各地域から最小のレイテンシーでアクセスが可能
  • EU個人情報保護指令への対応 (EU地域のユーザーはEU地域内にデータセンターがあることを要求される場合)
  • 米国、欧州、アジアでActive Directoryが分かれている場合に便利
  • Exchange Online はテナント間のフェデレーションで空き時間情報の共有が可能

ただし、Office 365は標準でデータセンター間のテナントの連携機能を持っているわけではないため、データセンターごとにテナントを分ける場合は、入念な設計が必要になります。以下のようなことを考慮しておかなければなりません。

  • データセンター間でライセンス数の調整ができない (アジアのテナントでライセンスが余っても、それをヨーロッパのテナントに回せない)
  • データセンターをまたぐ異動があった場合に、メールボックス、個人用サイトなどを簡単に移せない
  • アドレス帳はデータセンターの単位となる。テナントをまたいで全世界で同一のグローバルアドレス帳を実現するためには、お客様側で特別なID管理の仕組みが必要
  • すべてのテナントにおける各種設定の統一は、お客様側で実施
  • SharePoint Onlineはテナント間で相互にアクセスするには別途ライセンスが必要

データセンターを分けた展開をしたい場合、もしくは展開方法について疑問点がある場合は、マイクロソフトの営業担当者までご相談ください。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。グローバル展開をする際にクラウドサービスを使って情報基盤を構築することを検討されているお客様向けに、「事業所グローバル展開時の IT インフラ・考」を全三回でお届けしてきました。第一回、第二回についてもあわせてご覧ください。これから展開を検討しようとしているお客様の参考に少しでもなれば幸いです。

 

「事業グローバル展開時の IT インフラ・考」シリーズ

事業所グローバル展開時のIT インフラ・考(1) ~ 情報共有システムの基本設計

事業所グローバル展開時の IT インフラ・考 (2) ~ クラウドのグローバル展開における法的課題の検討

事業所グローバル展開時の IT インフラ・考 (3) ~ Office 365 グローバル展開の導入事例

 

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