Google のオフラインでの失態

(この記事は Whymicrosoft.com に 2011 年 9 月 8 日に投稿された記事の翻訳です)

Nothing but the web (100% Web の世界へ)」は、Google がここ数年顧客にアピールしてきたスローガンです。Googleは、インターネット接続があれば生産性が上がると顧客に信じ込ませようとしています。「nothing but the web」というアプローチは、オンライン広告による収入を生み出すことによって、Googleに十分貢献しています。顧客はデータを可能な限りオンラインで操作することになるため、顧客が目にする広告は必然的に多くなります。ただし、「nothing but the web」は、顧客の生産性のニーズに応えるには制限が多すぎます。Google Apps で最も求められている機能は何だと思いますか? オフライン機能です。Google による Google Apps 用のオフライン機能の最近のリリースは、その「100% Web」という姿勢が180 度転換したことを示しています。結局Google は、顧客向けにWeb 以外の機能を用意しているだけでなく、クライアント ソフトウェア(これもGoogle が選別)を介して利用できる機能もリリースしているのです。

 

Google Offline = 生産性の損失

顧客に案内もせずにGoogle は突然Gears の提供を中止し、投資を HTML5 ベースのソリューションに移しました。18か月以上も顧客を暗闇に放置した挙げ句、最終的にGoogle はオフライン要件のギャップを埋めようとしました。では、このギャップを埋めることはできたのでしょうか? まず、新しいオフライン ソリューションにはChrome 13 以降が必要になりますが、これを利用できるのはブラウザー利用者の約 22.2% に過ぎません。次に、Google Apps の最新のオフライン ソリューションを以前のソリューションであるGoogle Gears と比べると、新しいソリューションが何段階も後退したことは紛れもなく明らかです。以下に、Googleの新しいオフライン ソリューションの制限事項をいくつかご紹介します。

電子メールおよびカレンダー

  • Chrome ブラウザー 13 以降が必要
  • Gmail と一貫性のないインターフェイス
  • 保存できるメッセージ数に制限あり
  • 利用可能な電子メールを制御できない
  • 印刷機能なし
  • リッチ テキスト形式の電子メールに未対応

オンラインの例オフラインの例

  • 会議や予定を作成/編集できない
  • 電子メールでカレンダーの招待を確認できない

オンラインの例オフラインの例

Docs

  • Chrome ブラウザー 13 以降が必要
  • ドキュメント リストと個々の生産性アプリケーションから独立した別のアプリケーション

オンラインの例オフラインの例

  • 読み取り専用、編集機能なし
  • Google Presentations、Drawings、Forms へのアクセス不可
  • Docs List に保存された Microsoft Office ファイル (バイナリ、OMXL または ODF ドキュメント)、PDF、画像などの多くの業界標準ファイル形式へのアクセス不可
  • 画像、コメント/スレッド、強調表示の欠落。Google のネイティブ ドキュメントからのファイル再現性がない

オンラインの例オフラインの例

このオフライン ソリューションがベータ版であることを考えると、遭遇する問題に関して顧客が期待できるサポートには限界があります。

Google のオフラインに関する発表は、“突貫工事”の結果のように思われます。エンジニアの一団がそれぞれのデスクで必死に作業している傍らで、プログラム マネージャーが、再度約束したオフライン アクセスの提供期限である今年の夏に何とか提供するために、必死になってリリースから主要機能を削っている様子を思い浮かべてみてください。あるいは、こういった中核機能は、プログラム マネージャーのリストに記載すらされていなかったかもしれません。

 

ビジネスニーズは Google の優先事項になるか ?

顧客がWeb に接続していなければ、Googleの広告を提示することは非常に難しいと言えます。Googleは収益の97% を広告から得ており、そのビジネス戦略は広告収入を主体としたものです。それでは、この戦略に基づいた場合、どれだけの時間とエンジニアリングの技能をオフライン テクノロジに投資するでしょうか? 実際、Googleがオフライン機能をGoogle Apps の顧客に再度提供できるようになるまで、18か月以上もかかりました。このことは、オフライン製品にこれまでも最小限の投資しか行ってこなかったこと、そしてこれからも行わないだろうことを物語っています。

ビジネス ユーザーは、ツールへのオフライン アクセスだけでなく、さまざまに変化する使用シナリオのサポートも必要としており、使用しているブラウザーや、クラウド アプリケーションおよびデスクトップ アプリケーションも多岐にわたります。業績がオンラインのみの使用事例に集中しているうえに、製品サポート計画に一貫性がなく、製品のリリースも遅れるような会社を、ビジネスの成功にかかわる関係者としてどれだけ信頼し、長期的に必要な中核となるビジネス機能の一貫した提供とサポートを任せられるものでしょうか?