新時代のビジネス プロダクティビティ

このたび “ビジネスプロダクティビティ製品チーム” によるブログをはじめることにしました。Microsoft Office および関連製品群の総称を “ビジネスプロダクティビティ製品” と呼んでいるのですが、これらの製品事業を統括する部門 “Office ビジネス本部” のプロダクトマネージャー達が、製品に関わる最新ニュース、コンセプトや市場動向、Tips などを投稿していきます。必ずしも毎回話がつながっているとは限らず、またトーンも粒度もたぶんばらばらになると思いますがご容赦ください。

Office 関連製品群では、デスクトップやスマートフォン、サーバー、サービスと様々な形態で生産性向上のためのITをご提供しています。Microsoft Office スイート、すなわち Word や Excel、PowerPoint、Outlook などに代表される情報活用のためのフロンドエンド ツールは皆様いずれかお使いいただいていると思いますが、最近ではこれらの製品のブラウザー版やスマートフォン版が登場し、さらに幅広いシーンでご利用いただけるようになりました。Exchange や SharePoint、Lync といったサーバー製品は、最新技術をどんどん取り入れ、情報活用基盤およびアプリケーション開発基盤として、フロントエンドの生産性の向上と人や情報のつながりの強化を実現しています。そして先月、これらの製品群をクラウド サービスとしてご利用いただける Office 365 が登場し、展開の選択肢の幅もまた広がりました。私どもプロダクトマネージャーは、日本で今起こりつつある大きな変化に対応するワークスタイル実現のために、これらのテクノロジーをどう活用いただきたいかをご提案する役目を担っています。

プロダクティビティを高めるには

日本の 「ホワイトカラーの労働生産性」 が先進国の中で低いレベルにあると、長らく、随所で言われています。生産性を評価するためには、アウトプット÷インプットの式に様々な要素を当てはめていくわけですが、インプット側は労働投入量そのものですから、少ない労働投入量で多くのアウトプットを出せばいいということです。労働投入量の測定は難しいですが、単純化のため労働の質の代理変数を給料とすれば、同じ給料の人なら短い時間で同じアウトプットを出せる人のほうが、生産性が高いと言えます。アウトプット側は、一定の労働投入量に対しより高い成果が出るということですから、イノベーションやビジネス モデル、ビジネス プロセスの改善によりもたらされます。

もちろんアウトプットの拡大は、企業や組織として長期的に目指すべき方向性ですが、一朝一夕に革新できるものではなく、中長期にわたる戦略的な展開が必要です。一方インプットに直結する 「ワークスタイル」 の見直しによる改善は、比較的手軽に、また確実に実現できます。世界に冠たる日本の製造プロセスでは日々行われてきたことです。ホワイトカラーのワークスタイルにおいても、できないわけがありません。今までは、悪影響がすぐに目に見えて現れなかったため、なかなか本気になれなかっただけです。

ワークスタイルは今度こそ変わる

しかし、東日本大震災以来、多くのお客様から、ワークスタイル改善に関するお問い合わせをいただくようになりました。私の担当するLyncでも、毎週大手町テクノロジーセンターで実施しているLync体験セミナーに、毎回多くのお客様にご来場いただいています。また、品川本社のショールームでも、複数のテレビ番組からの取材を受けています。弊社でもテレワーク (在宅勤務) やフリーアドレス (固定席の撤廃)、エンタープライズ ボイス (PBX と固定電話の撤廃) などを導入していますが、担当営業経由で見学を希望されるお客様が毎日のようにいらっしゃいます。日本マイクロソフトの社員は、震災翌週の月曜日からそのまま一週間、原則在宅勤務となったのですが、電話でのコミュニケーションも含めほとんどすべての業務を一切止めることがありませんでした。社員のだれもが持つこの経験が、お客様に伝わり、関心を引き起こしているのでしょう。弊社は危機対策のためにこのようなワークスタイルを選択したわけではありませんが、働き方の柔軟性を確保するために、どこにいても最高の生産性を発揮できる IT インフラを整備し、常日頃使っていたことが、危機発生時とその後の対応に大きな効果を発揮しました。

今までも、パンデミックなどの危機対応や、働く女性のサポートを中心とした働き方の柔軟性などを理由としたワークスタイル改善が、長く語られてきました。しかし残念ながら、あまり変われませんでした。変わることにより失うかもしれないと思い込んでいるものが、一時的な危機、おそらく自分ではない対象への対応に、二の足を踏ませていたのでしょう。でも、さすがに今回は違いそうです。地震への恐怖は近いうちに忘れられてしまうかもしれません。しかし電力の不足は、あと何年かは続くと思われます。原発事故への恐怖は今もなおのしかかり、再生可能エネルギーへの転換の一歩を踏み出すことになるかもしれませんし、人口減とマイナス成長を受け入れた新しい社会の在り方を模索することになるのかもしれません。いずれにせよ、高度成長時代の記憶を残す現在のワークスタイルは、変わらざるを得ないのです。

このあたりの話はまた機会を改めて、プロダクティビティ分野のソリューションや、弊社でのワークスタイルの話など交えながらご紹介してまいります。