Google には都合がよくとも、企業には適切ではない

(この記事は Whymicrosoft.com に 2011 年 6 月 15 日に投稿された記事の翻訳です)

Office 365 の発表の準備をしながら、Googleが企業顧客に提供するプラクティスがどのようなものか知りたくなりました。調べた結果、Googleが提供するプラクティスの一部はGoogle にとって都合がよいだけで、本当の意味で顧客中心ではないということがわかりました。ツールやサポートのライフサイクルが良い例です。

 

Googleのライフサイクルは短い
Google は自社のAPI を最大3 年間サポートします。Google Code 公式ブログでは、ライフサイクルについて次のように述べています。

 

「最近行った API の発表に伴い、当社の API の数は非常に多くなっています。ただし、古い API の中には、より大規模で機能性の高い API に取って代わられたものや、廃止になったものもあります。Web が進化し、優先順位が変化するにつれて、当社では API の廃止を検討することがあります。つまり、リソースを解放して今後の開発に注力するために、それらの API を現行の開発作業から除外するということです。今日は、当社の API の大掃除についてご報告します」

-- Adam Feldman 氏、Google

 

このような、Google API の廃止を公表する投稿を読むと、強い懸念を抱きます。また、この投稿は、次のような質問をうまくはぐらかしています。

 

「ひとつ質問したいのですが、なぜ、有益な製品を長期間かけて構築したいと考えている開発者や企業が、今後も Google のAPI を使用する必要があるのでしょう?」

-- Frank Enzenhofer 氏

「Google のこの一連の活動は、Google の開発者に対してあるまじき、恐ろしい行為です。Translate API を使ったことはありませんが、Google が提供するその他の無償の教育用ソフトはいくつも使ったことがあります。"開発者を支援する" 誰かが、このような活動が及ぼす影響を一顧だにせず、開発者をインターネットの世界から抹殺しかねないことを考えるとうんざりします」

--匿名希望

 

このようなプラクティスによって、企業のリソースにはきしみが生じ、IT 管理者はかなりの苛立ちを覚えています。組織は、耐用年数が 3 年以上のアプリケーションをカスタマイズし、開発しようと努力しています。Finance API などのツールを廃止したときでさえ、そのうちの 7 つについて Google は終了日を発表せず、個々の API のサポート期間について顧客から質問されても、放置したままでした。

それだけではありません、企業もユーザーも、Google が古いブラウザーのサポートを打ち切っているという事実には影響を受けるでしょう。ここでブラウザーの選択に関して、NetApps の 3 つの数字を引用すると、市場の 18.9 % が使用しているブラウザーが、8 月 1 日以降 Google Apps で完全にはサポートされなくなります。思い返せば 2010 年 1 月、Google は一般的なブラウザーである IE6 のサポートを打ち切りましたが、IE6 は今でも 10.4% のユーザーが使用しています。Google は、IE7、Firefox 3.5、および Safari 3 についても、8 月 1 日以降サポートを打ち切ることを発表し、Google Apps を選択した別の 8.5% のユーザーに対しては、60 日前までに通知するだけで、ブラウザーを選択できないようにしています。

中規模または大規模組織が 60 日以内に、その影響を評価し、従業員の PC、オペレーティング システム、アプリケーション、ブラウザーの組み合わせの変更の妥当性を示して、計画、展開を行うというのは、どのくらい現実的なことなのでしょう。たとえ影響が小さく期間が現実的だったとしても、毎日 Google Apps の機能を利用して業務をこなしている従業員に対して継続したサポートを提供する中で、突然このような課題に直面しなければならないのは、いかがなものでしょうか?

 

Google はソフトウェアの更新計画を視野に入れていない
Google がビジネス ニーズを理解していないことを示すさらなる証拠は、Google にクラウドの製品ロードマップがないことです。IT チームと企業は、リリースのロードマップを使用して、テクノロジの採用と展開を計画します。多様なアプリケーションが使用されている場合や、ユーザー ベースが大きい場合には、この計画が特に重要です。Google Apps の顧客の場合、Google の計画的リリースによって、公表後に Google Apps の最新の変更を導入する期間として1 週間が組織に与えられますが、公表後の1 週間で変更を適用するというのは、多くの企業にとって現実的ではありません。管理者は、変更対象の機能を把握し、各機能に関する質問の答えを準備しておく必要があります。実際、優秀な IT スタッフなら、リリース前にユーザーに通知するでしょうし、比較的落ち着いた営業期間にリリースが有効になるように時期を選ぶ可能性もあります。

 

マイクロソフトはビジネスニーズを理解している
会社が大きくなり、従業員数が増えるにつれて、ビジネス ニーズの範囲も広がります。IT スタッフは、ハードウェア、オペレーティング システム、ソフトウェア、ブラウザー、ユニファイド コミュニケーション、およびクラウド サービスへの移行を積極的に計画します。ビジネス ニーズとコストとのバランスを取りながら、IT スタッフは一般に、最新バージョンのハードウェアとアプリケーションをすぐには使わない、という移行プランを作成します。Google はビジネスに対する制限を設けていますが、マイクロソフトには、何十年もビジネスにサービスを提供してきた経験と、ビジネス ニーズへの理解、移行を容易にするプラクティスがあります。

 

「Google は、2006 年に IE7 をサポート リストから除外した、最初のオンライン ソフトウェア ベンダーの 1 つです。マイクロソフトは、たとえば IE7 を Windows XP では 2014 年まで、Vista ではその 3 年後までサポートすることを公約しています」

-- Gregg Keizer 氏、Computerworld

 

マイクロソフトは 10 年間のサポート ライフサイクルを提供しています。実際、テクノロジの長期使用に対するニーズを理解したうえで、2002 年
10 月 15 日にマイクロソフトが最初にサポート ライフサイクル ポリシーを導入しました。

 

「マイクロソフトはビジネス、開発用製品に対して最短でも 10 年間のサポートを提供します。ビジネス、開発用製品に対するメインストリーム サポートは、製品発表後 5 年間または次期製品 (N+1) の発売後 2 年間のどちらか長い方の期間提供します」

-- マイクロソフトのサポート ライフサイクル ポリシー

 

マイクロソフトは、既存製品について長期のサポート ライフサイクルを適用しているだけでなく、一貫して "互換モード" を組み込むことによって、ソフトウェア展開フェーズで企業および個々のユーザーを支援します。この方法によりお客様は、以前の製品バージョン用に作成したファイルおよびコンテンツを確実に利用できます。たとえば、IE9 のユーザーは、IE8 での参照用に構築されたコンテンツを表示できます。Web ページのメタ要素により、IE9 ブラウザーで "互換モード" が動作するようになるだけです。実際、マイクロソフトは、ソフトウェアの移行を支援するために、企業が利用しているその他のすべてのアプリケーション (Word、Office、SharePointなど) について、あらゆる種類の互換モード機能を提供しています。

これまで述べてきた考察を、SaaS (サービスとしてのソフトウェア) への移行を計画する際の新しい検討事項としてご活用いただければ幸いです。少しお時間をいただき、Web に限定されたアプリケーションに移行する場合、また Web アプリケーションを日常的に使用する場合に、皆様のビジネスにとって何が重要かをお知らせください。