Google Apps の隠されたコスト

(この記事は Whymicrosoft.com に 2011 年 5 月 4 日に投稿された記事の翻訳です)

この時期、多くの米国国民が連邦税還付金を受け取ります。私たちの多くは領収書を探し出し、考えられるすべての税控除を受けて還付金を得るために躍起になります。

積極的に支払義務のある額以上を税務署に支払ったり、支払う必要のない税に応じる人はいないでしょう。では、なぜユーザーや企業は Google による不当な "課税" を受け入れているのでしょうか。

もちろん、私は会計士ではありませんし、米国の税法の複雑さについて意見を述べるつもりもありません。私よりも長い期間にわたり IT 関連の仕事をしている方が認めたこととして私が言えるのは、Google Apps を利用する場合には "税金" を支払うに等しい隠されたコストがかかるということです。

"Google 税"は無用なものですが、あっという間に増大します。このことは、Google Apps とMicrosoft Office を併用している場合に特に当てはまります。当社としての意見はありますが、Google Apps を試されたお客様から直接お話を伺いたいと考えました。最近、米国、フランス、日本を含む 5 か国で、Google Apps を利用している 90 社以上の中小規模企業へのインタビューを行いました。この調査により、非常に興味深いことがいくつか判明したのです。

  • 調査対象の 10 社のうち 9 社では、Google Apps と Office を併用しています。これらの会社はユーザーの準備状況や生産性要件、セキュリティに関する懸念、オフラインで作業できないことが原因で、Office を置き換えていません。興味深いことに、大多数の企業は Google Apps の無料試用版を評価するだけで、その展開にお金を費やすつもりはなく、Microsoft Office での標準化を続けることが Gartner により確認されています。
  • 調査にご参加いただいた中小規模企業のほとんどは、Gmail とカレンダーだけを利用していました。5 社のうち 2 社だけが Google Docs を導入し、3 社のうち 2 社は主な生産性ソリューションとして今も Office を利用しています。

 

企業に対する重い負担表面的には、Google Apps は Microsoft Exchange Server や Microsoft Office などのエンタープライズ クラスの製品の無難な代用品に見えるかもしれません。しかし多くの IT 組織は、Google Apps には余分な隠されたコストがあることに気づいています。Google Apps を評価した組織は、Google Apps に切り替えた場合の予想されるコストを実際のコストと対比すると、総保有コスト (TCO) が大幅に増大することに気づきました。具体的に言うと、費用のかかるアドオン アプリケーションを利用しなければ、中小規模の組織にとってさえ Google Apps はエンタープライズ対応ではなく、不十分なものに過ぎないと、これらの IT 組織は感じています。組織が "Google 税" を最も痛切に感じる 3 つの一般的な領域は、展開、IT サポート コスト、そしてトレーニングです。

 

展開
組織では最初に、従業員の電子メール メッセージ、仕事、フォルダー、配布リストなどのデータを、Microsoft Exchange Server のようなメッセージング ソリューションから Google Apps に移行する必要があります。Google Apps では限られたディレクトリ サービスと同期機能しか提供されないため、その負担は IT 部門やエンドユーザーに転嫁され、多くの場合、データと連絡先を同期するためにサードパーティ製のアプリケーションを展開しなければならなくなります。Outlook の豊富な使い慣れた機能を引き続き利用する組織は、いくつかのアドオンを管理する必要があります。そのようなアドオンを利用したとしても、従業員は大抵予定表と電子メール フォルダーを正常に機能させるために四苦八苦した挙げ句、生産性の低下を招くことになります。

 

IT サポートコストIT 担当者とユーザーがデータの移行に費やす時間と、データを移行するためのサードパーティ製アプリケーションのコストはばかになりません。たとえば、Google Marketplace では Exchange to Google Apps Migrator は 1 ユーザーあたり 20 ドルと示されています。このコストは、電子メール以外のデータを移行する場合には大幅に高くなります。Google Apps を補強するための寄せ集め的なアプローチは費用がかさみ、大部分のユーザーが期待する統合されたエクスペリエンスを提供できません。おそらく IT 管理者にとってさらに問題となるのは Google が年中無休 (24x7) のサポートを提供しないことでしょう。たとえば、週末や休日は P1 リクエストの電話サポートしか利用できません。また、これはユーザーの半数以上に影響が及んでいる場合に限られます。P1 リクエストは、運用環境でサービスが使用不能になっていて、重大な影響がある場合の項目です。P2 リクエストは、サービスが正常に機能しない、影響力が大きい状況に対応する項目です。Google は週末や休日は P2 リクエストやそれ以下の優先度のリクエストに対応していません。

 

ユーザートレーニング
Google Apps はごく基本的な機能を提供しますが、一貫したドキュメント変換やインポート/エクスポート機能はありません。アプリケーションの柔軟性は限られており、頻繁に機能の欠陥やバグが見つかっています。Google Apps は全体的に HTML ベースであるため、かなりの数の書式設定の問題があり、データとドキュメントの移行および変換時にはデータを失う可能性があります。これが、Google Apps が単独で利用されることがめったになく、今回の調査対象の 10 社のうち 9 社が MS Office を併用している理由だと考えられます。

ベンジャミン・フランクリンはかつて、「この世で確実なものは死と税金以外にはない」と言いました。そのとおりかもしれませんが、だからといってユーザーや企業が Google の隠されたコストを負担しなければならないということにはなりません。ユーザーや企業が Google のセールス トークを見透かしたとき、Google Apps の投資収益率が実際にどれほど悪いのかがわかり、7 億 5,000 万人ものユーザーが Office を選択している理由を理解するでしょう。