Google Cloud Connect の実態

(この記事は Whymicrosoft.com に 2011 年 2 月 25 日に投稿された記事の翻訳です)

Google は最近Cloud Connect for Microsoft Office をリリースしました。いくつかのを耳にされた方もいるかもしれません。2010 年 11 月に Cloud Connect ベータ版がリリースされた際に、最も単純なタスクを処理する能力についてこのツールへの不満の声が上がっていました。Cloud Connect が利用可能になった今、このリリースされたアドインについてマイクロソフトとして初の見解を示したいと思います。

Google は、Office Word、Excel、または PowerPoint から直接共同編集できるようにすることで、Microsoft Office による生産性をさらに高めるという崇高な表向きの目標を掲げていますが、この達成は簡単なことではありません。マイクロソフトは同様の機能を Office 2003 のドキュメント ワークスペースおよび共有ブックとして、また Word 2002 の比較と反映として提供しています。

Office 2003 の共有ブック Office XP の文書の比較と反映

業界最高レベルの生産性ツールを作り上げてきた 25 年以上にわたる経験から、マイクロソフトは自らが果たすべき一番の役割は、共同作業を容易に手間をかけずに行えるようにすることだと学びました。これが、Office2010 の共同編集機能、OfficeWeb Apps の誕生、そしてWindows Live SkyDrive およびMicrosoft SharePoint との密接な統合を押し進める原動力の一環となったのです。長年にわたり業界最大の企業や個人と連携してきた経験から学んだことは、ソフトウェアは予想通りに機能する信頼できるものでなければならないということです。このため、Office 2010 の共同編集機能の開発にあたっては、文書と内容の整合性を維持することに重点を置きました。つまり、使用中のOffice クライアント、デスクトップ上のOffice 2010、SkyDriveまたはSharePoint 内のWeb Apps、あるいはモバイル デバイスのいずれであっても、作成したものが問題なく維持されるということです。作業のやり直しやデータの損失、予想外の事態などが発生しないということでもあります。

Google のCloud Connect を初めて試してみましたが、生産性を高める方法についての見解がマイクロソフトとはまったく異なっていることが明らかになりました。

今回の試用結果を見てみましょう。

 

上のデモから分かるように、Google Cloud Connect の操作性にはさまざまなレベルで問題があります。

 

データと生産性の損失

以下の原因により、文書の処理がより複雑になっています。

  • Cloud Connect で文書を共有するために行う基本的なセットアップは、複数の手順によるプロセスであり、ほとんどのユーザーが直感的に理解できない
  • すべての機能、すべての種類のファイルを Cloud Connect で処理できるわけではない。そのため、予期しないエラーが頻繁に発生する。
  • Google によれば、Cloud Connect はアプリケーションのパフォーマンスに影響を及ぼす可能性がある。

同時編集では、同期エラーやデータの損失が生じやすくなります。

 

Office 機能の削減

  • ユーザーは変更履歴の記録と条件付き書式、並べ替えの設定、表の書式、画面切り替え、音声、印刷設定などの Office のコア機能を諦めなければなりません。これらの機能は、Google にとっては余計なもの、あるいは複雑すぎるものかもしれませんが、Office ユーザーにとっては、実際に毎日行う多岐にわたる作業なのです。
  • Google は、その他の Office アドイン (マイクロソフトまたはサード パーティ製のアプリケーションのもの) を無効にすることを推奨しています。Google はこの理由を、競合が起きる可能性があり、この競合がアドインの "不安定な動作" を引き起こすおそれがあるためとしています。個人的な意見になるかもしれませんが、重要なビジネス文書を操作しているときに "不安定な動作" は起きてほしくはありません。

セキュリティおよびプライバシーに関する懸念Cloud Connect での同期エラーを減らす最良の方法は、アドインで自動同期をセットアップすることです。自動同期がオンになっていると、開いていて保存されているすべての Office ファイルが、Google のサーバーに格納されている Google Docs リストと自動的に同期されます。既定の設定を変更しない限り、ドメイン内のすべてのユーザーはその文書を見つけ、アクセスすることができます。たとえば、人事の担当者が給与や社会保障番号が記載されたExcel 文書を開き、変更を加えて保存したとします。すると、この情報は、意図しなくても知らないうちに組織内の他の人々と共有されてしまいます。プライバシーとセキュリティに対するこのような取り組み方は、大多数のビジネス ユーザーにとって断じて受け入れられないものです。さらに、「Googleの関心が本当にビジネス市場にあるのか、あるいはその収入の97% を占めている広告の方にあるのか」という疑問が湧くことも、重要な点です。もし後者であれば、Cloud Connect をインストールしたユーザーのすべての文書がGoogle のクラウドと同期されてしまう理由の説明になるかもしれません。Googleが個人データを収集するために外部からアクセスできるようにするにつれて、個人も企業も同様に、そのデータが利用されるのかどうか、またどのように利用されるのかという疑問を抱き始めています。

Google は "徹底的な生産性向上" を実現したいと考えています。このため、ユーザーはGoogle が大規模企業の顧客を支援する中で実証してきたこと以上のことを期待してしまうだと思われます。データの損失やプライバシーは今後のバージョンで修正されるバグではありません。そして、この領域を第一に考える際に必要なことは、単にブラウザーのコードを記述することだけではありません。Cloud Connect アドインをお試しになった方は、以下のコメント欄にその感想をご記入ください。