グローバル競争に勝ち残るためのプロダクティビティ

ここまで数回にわたり、私どもが日ごろご提案する「ビジネス プロダクティビティ」をブレーク ダウンしてご紹介してきました。12 月 1 日の Lync 発売をもって、Wave "14" による新世代のプロダクティビティ プラットフォームが完成しました (Lync についてはここ数回集中的にご紹介しましたので、詳しくは「人と人がリアルタイムにつながる俊敏な組織づくり」以降をご覧ください)。そして、年明けにはこの Wave "14" 世代の製品をクラウド サービスとしてご利用いただける Office 365 が登場しますが、その詳細は次回以降でご紹介していきます。
今回はここまでのまとめとして、改めてこれからのプロダクティビティについて考えてみたいと思います。

「グローバル化」は言い古されたキーワードですが、特に近年、単に「世界市場に打って出る」だけではない、真のグローバル化が進行中です。コールセンターや税務処理など、一定の枠を持った非中核事業や業務は、アウトソースがかなり進んでいます。ひと塊のプロセスごとに外に出すため、場所などどこでもよく、最近では中国の大連あたりでこれらのアウトソース サービスを日本語で行っているケースもよく見受けられます。また製造業が生産拠点を海外に移転することは、円高や税制などの観点から、長らく続いている傾向です。このように、近年サプライチェーンそのものがグローバル化しており、この傾向が後戻りすることは当分ないでしょう。この結果、国内の本社やコア ビジネスに残されるのは 「人」 そのものになります。本社やコア ビジネスの生産性は、より人の生産性に直結するようになる、ということです。

 

“コスト削減” 発想からの脱却

言うまでもなく、収益性は、アウトプット (生産物) ÷ インプット (人や資源) です。今に始まったことではありませんが、特に日本企業の場合、どうしてもインプットの量を減らす、つまりコスト削減に注視する傾向にあります。コスト削減は、考えるのは簡単です。現状のプロセスを見つめなおせば、どこにどのぐらいのリソースをかけているのかはわかりますので、何をやめればどうなるか、の判断ができます。結果のコミットができるので、コスト削減は提案しやすいですし、承認も通りやすい。やらされるほうはたまったものではありませんが、たいていの場合、提案者も承認者も直接手は下さないので問題ありません。しかし、アウトプットの量を増やす、生産性向上については、理解を得るのが大変です。現状のプロセスでは出せない結果を出さなければならないわけですから、パラダイム チェンジを伴います。もちろんだれもがその意義をわかってはいますし、とくに現場はそれを望んでいます。しかし、次元の異なる世界に踏み出すため、予測の数字に説得力を持たせるのが難しく、提案者も承認者も二の足を踏むのです。

グローバル化はつまり、世界を相手に競争をするということです。極限までコストを切り詰めたとしても、もともと低コストな人件費や資源をバックに戦う他国の競争相手に、はたして勝てるのでしょうか?
日本は資源小国で、競争力の源泉は人材にあるはずです。人の生産性を上げないで、どうやって戦うというのでしょう?
日本が次代を生き抜くためには、そろそろ、コスト削減発想からの脱却が必要です。

 

 

残された「人」のプロダクティビティを支える情報システム

人の生産性をもたらすのは、人の知恵です。知恵をもたらすのは知識です。知識は人と人の間のアドホックな情報流通から生み出され、共有されます (詳しくは「埋もれた知識を掘り起こす仕組み作り 」をご覧ください)。もちろん、定型化などできません。組織の戦略という大きな地図を参考にしながらも、直面する課題に対する解決方法を見つけるのは、それぞれの人であるべきです (詳しくは「組織の行動力を高めるための仕組み作り 」をご覧ください)。したがって、情報流通を支えるシステムは、決められた動きをスピーディに行うための 「アプリケーション」 ではなく、自由に動き回るための素材を提供する 「プラットフォーム」 であるべきなのです。システムは、情報が円滑に人と人の間を流れることを保証するものであって、ユーザーに振る舞いを強制するものであってはなりません。私どもが理想と考えているのは、さまざまな種類の情報を、さまざまな目的に応じて、最適な形で、必要としている人に届けることで、人の豊かな発想力を支える、ビジネス プロダクティビティ プラットフォームなのです。