「破壊的変化」の時代のプロダクティビティとワークスタイル


今回から数回に分けて (回数は未定です)、私どもが日ごろご提案する「ビジネス プロダクティビティ」の意義や実例、そしてその未来についてご紹介していきます。「ビジネス プロダクティビティ」をもっとも身近な日本語に訳すると、「事業の生産性」が適切でしょうか。米国本社でこの単語を使い始めた時、どう表現したものかと悩みましたが、結局はそのままカタカナでいくことにしました。「生産性」が強く持つ “効率” のニュアンスを避けたかったのです。「プロダクティビティ」は、単に業務スピードの向上を目指すものではなく、新しい知識やアイデアを生み出す土台をも含んだものです。私どもがお手伝いしたいビジネス プロダクティビティとは、企業の収益向上に直結するものなのです。

 

組織と個人が生き残るために必要な進化

日本企業におけるホワイトカラーの生産性の低さについては、皆様一度ならず耳にされていることでしょう。どのような生産性がどの程度低いのか、その視点やデータには様々なものがあるため、一口で結論付けることはできません。しかし、米国企業に身を置くものの実感としては、主に「時間」や「共同作業」に対する考え方の違いがデータに表れてきているように思われます。

1 つ目の「時間」についてですが、より具体的には、インプットとしての時間とアウトプットとしての品質のバランスに対する考え方の違いです。弊社をはじめ多くの米国企業では、1 人の従業員は同時に複数の部門横断的プロジェクトに参画し、スペシャリストとして貢献します。各人の責任範疇は明確で細分化されているため、まずは自分に課せられた最低限の役割を最小限の時間で果たしたうえで +α を考える傾向が強くなります。一方で伝統的日本企業では、1 人の従業員は 1 つの部門に縛られるものの、特定の業務フローに対して比較的幅広い役割を担います。やや不明瞭ながらも幅広いタスクを持つため、業務全体としての最終的な品質を上げるインセンティブが強くなります。もちろん双方に良し悪しがあるのですが、市場や顧客マインドが一夜にして変化するように見える「破壊的変化」の時代においては、時間に重きを置いたほうが成功する確率は高そうです。

2 つ目の「共同作業」についてですが、こちらも前述の組織との関わり方に大きく関連した話です。先の例と同様に訳語に悩まされる単語に「コラボレーション」があります。一番ニュアンスが近いのは「協業」かもしれませんが、通常はもうすこし大きな意味で使われる単語ですし、かといって「共同作業」では単に一緒に仕事をする “Co-Work” の意味が強すぎます。結局はこれもカタカナでいくことになるわけですが、本来の「コラボレーション」は、シナジーにより付加価値を生み出すような働き方です。各人がプロフェッショナリズムを持ち寄り、新しい知識や知恵を生み出していく「場」であり、いわゆるナレッジ マネジメントが目指した姿です。

このような仕事のスタイルは、欧米系企業に多く見られる特徴です。一歩責任範疇を外れると何もしないのが難点ですが、自分の責任範疇においては常に明確に意見を持ち、それを表明し、ぶつけ合おうとします。ある教育者の方の論ですが、これは学童教育の違いに大きな原因があるそうです。紙面の都合で詳細には触れませんが、正解を求めようとする日本型教育に対し、アイデアを求めようとする欧米型の教育では、意見を述べることこそ重要でありその質は問われません。欧米人とのディスカッションに参加された経験のある方ならお分かりでしょうが、彼らは非常にたくさん質問や発言をします。しかしよく聞いてみると、日本人ならまずしないような、稚拙でつまらない質問や発言が実に多いのです。これは、最終的により優れたアイデアが生み出すことを目的とする教育と文化が背景にあり、満を持して正解らしきものを答える人より、たたき台となる独自のアイデアをどんどん出す人が評価されるためでしょう。

話が横道にそれましたが、組織構造上、教育および文化的背景の両面において日本企業には、総和として正解と思われる答え、あるいは特定の有力者が望む答えに到達すべく責任とタスクを共有する「共同作業」を行う動機があるのです。答えが明らかな場合には大変に強力な推進力となりますが、答えが見えない破壊的変化の時代においては、その変化への対応が難しく、また多様な意見が封印されやすいため、適切なワークスタイルとは言えないかもしれません。

国内市場が飽和し海外市場に活路を求めていけば、また、技術が進歩し様々な制約条件が緩和することで海外企業の日本市場参入が進めば、さらに変化のスピードは速くなり、競争は確実に激化します。この点においてもはや選択肢はありません。国内市場で戦うにしても海外市場に打って出るにしても、はたまた国籍を捨ててグローバル化するにしても、企業は生き残りをかけたプロダクティビティ競争に巻き込まれます。そしてもちろん個人においても同じことが言えます。すでに地理的な壁はかなり取り除かれており、やがては言語の壁にもポジティブな要素はなくなるでしょう。全世界から集まる優秀な人材に対抗するためには、個々人のプロフェッショナリズムを磨き上げ、組織としてのプロダクティビティ向上に貢献できる人材になる必要があります。私どもマイクロソフトは、そのような組織と個人のワークスタイルを支える製品とその使い方をご提案しています。

 

マイクロソフト「Wave “14”」が目指す次世代のプロダクティビティ

この2010年5月に、Office 2010、SharePoint 2010、Visio 2010、Project 2010 という4つの新製品をリリースしました。特に Office 2010 と SharePoint 2010 は、非常に多くの企業および組織で、すでに活用いただいているプロダクティビティ ソフトウェアで、その最新バージョンである 2010 には、日本企業の組織や個人のワークスタイルを革新する、様々な先進機能を盛り込みました。

Office 2010 は、マイクロソフトの DNA といっても過言ではない、PC の世界で個人のプロダクティビティに貢献する製品です。データや文章などの情報を生成し文書化、人の意思決定や情報伝達に役立てるソフトウェアであり、つまりその文書がアウトプットの最終目的になります。代々のバージョンアップで、文書の内容のクオリティを上げるための様々な機能拡張を行ってきましたが、近年はコラボレーションの向上に重点を置いた機能拡張と製品間連携を強化しています。さらに、スマートフォン用の Office Mobile 2010、ブラウザー版の Office Web Apps といった異なるインターフェースをご提供し、時間や場所を問わず、様々なデバイスから Office 文書にアクセスし、データを損なうことなく適切な作業を行うことができるようになりました。

一方 SharePoint 2010 は、サーバー製品ですので、エンドユーザーの方の中にはご存知ない方もいらっしゃるかもしれませんが、企業情報ポータルや文書管理、ワークフロー、データ分析、検索、ソーシャル ネットワークなどのプラットフォームとして、世界的に非常に高い評価とシェアをいただいています。この製品は 4 代目ですが、単なる情報共有基盤から、Office デスクトップとの連携などを強化したコラボレーション基盤へと進化しました。

これらの製品名の末尾に付加した数字は 2010 ですが、デスクトップ製品のヘルプなどに表示される正式なバージョン番号が 14 のため、社内では正式製品名が決まるまでは Office “14” や SharePoint “14” などと呼んでおり、これら同一バージョン製品を総称して Wave “14” と呼んでいました。対外的にはこのままではわかりづらいので「2010 シリーズ製品」あるいは「Office 2010 関連製品群」などと表現したのですが、ここはニュースレターを購読いただいているロイヤル カスタマーの皆様とのコミュニケーションの場ですので、あえて Wave “14” をそのまま使いたいと思います。

 

 

Wave “14” では、プロダクティビティの全体像を、個人とシステムをつなぐマン-マシン インターフェースである Office 2010 と、そこに情報を経由した様々なつながりをもたらすサーバーおよびサービスという 2 層でとらえています。昨年 11 月に先にリリース済みの Exchange Server 2010、今後リリース予定の Communications Server “14” もここに含まれます。これらのサーバー群は、企業内に構築する自社展開型環境 (オン プレミス) だけでなく、マイクロソフト自身や他のパートナー企業がホスティングするクラウド環境としても提供されます。そして、オン プレミス、クラウドに関わらず、Office インターフェースからこれらのサーバー サービスにアクセスし、データや文書、ビジネス プロセス、人の知識にシームレスにつながることができるのが、私どものビジネス プロダクティビティ プラットフォームの全体像です。次回以降では、このプラットフォームの価値を、具体的なシーンに落とし込んでいくつかご紹介していこうと思います。

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