情報採取ツール MSDT 実行時のクラスターの検証について

こんにちは。Windows プラットフォーム サポートの野村です。

弊社サポート サービスにお問い合わせいただいた際に、調査のためのログ採取において情報採取ツール MSDT をご案内させていただくことがあります。

この MSDT は各サーバーの用途毎に必要な情報が採取可能なものを弊社にてご用意し、お客様にてツールを実行いただいていますが、Hyper-V およびクラスター用の MSDT をクラスター環境で実行した際に、イベント ビューアーの下記パスのログに 2 パターンのエラーが記録されることが確認できています。

[アプリケーションとサービス ログ]

  - [Microsoft]

  - [Windows]

  - [FailoverClustering-Manager]

  - [Admin]

2 パターンのエラーはそれぞれ以下のようになり、いずれもクラスターの検証を実施する PowerShell のコマンドレット Test-Cluster の引数の指定が正しくないために記録されるものです。MSDT 実行によって本エラーが記録されても、情報採取における PowerShell のコマンドレットが実行されなかったことを意味するため、システムへの影響は全く無く、無視いただいて問題ありません。

 

<パターン 1>

発生条件 … 英語環境以外の環境 (以下のエラーは日本語環境の場合)

ソース:           Microsoft-Windows-FailoverClustering-Manager

イベント ID:       4657

タスクのカテゴリ:      PowerShell コマンドレット

レベル:           エラー

説明:     フェールオーバー クラスター PowerShell コマンドレット Test-Cluster: 読み込まれているテストの一覧にテスト 'List BIOS Information' が見つかりませんでした。

 

<パターン 2>

発生条件 … Windows Server 2012 以降の英語環境

Source:        Microsoft-Windows-FailoverClustering-Manager

Event ID:      4657

Task Category: PowerShell CmdLets

Level:         Error

Description:     Failover Cluster PowerShell cmdlet Test-Cluster: The test 'List All Disks' is not found in the list of loaded tests.

 

以下にそれぞれのパターンの要因について説明します。

パターン 1 のエラーは、クラスターの検証における 'List BIOS Information' のテスト項目を選択できなかったために記録されたものです。具体的には、クラスターの検証テストの項目であるインベントリ テストの 'BIOS 情報の一覧表示' を PowerShell のコマンドレット Test-Cluster にて実行できなかったことを示しています。

例えば、日本語環境の場合は、Test-Cluster 実行時に下記のように明示的にテスト項目を "日本語" で指定して実行する必要がありますが、MSDT では Test-Custer での各テスト項目が "英語" で指定されます。従って、英語環境でないクラスターにて MSDT を実行した際には、上記パターン 1 のエラーは必ず記録されます。クラスターの検証は実行されません。

// 'BIOS 情報の一覧表示' を指定

> Test-Cluster -Include "BIOS 情報の一覧表示"

パターン 2 のエラーの内容は、クラスターの検証における 'List All Disks' のテスト項目を選択できなかったこと、つまり記憶域テストの 'すべてのディスクを一覧表示' が実行できなかったことを示しています。しかしながら、このテスト項目は Windows Server 2012 以降のクラスターにはありません。Windows Server 2012 以降では、このテスト項目は 'ディスクを一覧表示' (英語では 'List Disks') と名前が変わっているためです。

まとめると、MSDT 実行時にクラスターの検証が実行されるのは、Windows Server 2008 R2 の英語環境のクラスターのみとなります。

なお、上述の通り、MSDT 実行時に上記エラーが記録されても情報採取の PowerShell のコマンドレット Test-Cluster が実行されなかっただけでシステムへの影響は全く無いため、本ツール MSDT の修正は見送られました。そのため、クラスターの検証レポートが調査に必要であると判断した場合は、適宜弊社から取得をご案内いたします。その際は、取得にご協力いただけますと幸いです。