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DAG 環境でバックアップ専用 IP アドレスを設定できない

こんにちは、日本マイクロソフトの松岡です。

 

Microsoft Exchange Server 2010 の DAG 環境において、3rd party 製のバックアップ要件などで、「DAG 環境のクラスター コア グループにバックアップ専用の IP アドレスを追加したい」というお問い合わせをいただくことがございます。しかしながら、DAG 構成においてバックアップ専用の IP アドレスを設定することは、サポートされておりません。

 

今回は以下の 2 点についてご案内させていただきます。

1. 「何故バックアップ専用の IP アドレスを追加することがサポート対象外であるのか」

2. 「どのようにバックアップをとれば良いのか」

 

 

1. 「何故バックアップ専用の IP アドレスを追加することがサポート対象外であるのか」という点について説明します。

 

まず DAG 構成をとる際のネットワーク要件について考えます。

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DAG 構成の環境を作成する際に、一意の名前を 15 文字以内で指定する必要があります。またそれ以外に、1 つ以上の IP アドレス (IPv4 または IPv4 と IPv6 の両方) を割り当てる必要があり、割り当てられた IP アドレスは、MAPI ネットワークのサブネット上で使用可能な状態である必要があります。その上で  DAG と IP アドレスの要件として各 DAG には複数の MAPI ネットワークが備えないようにする必要があり、指定された MAPI ネットワークは、他の Exchange サーバーおよび Active Directory や DNS などのその他のサービスへの接続を提供しなければなりません。

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※MAPI (Messaging Application Programming Interface) とはメッセージを送受信するアプリケーション用にマイクロソフトが作成した規約です。メッセージの送受信、アイテムの保存、アドレス帳の参照など Outlook のさまざまな機能は、MAPI を RPC ベースで呼び出すことによって実現されています。

 

上記要件を簡単にまとめると、以下の 2 つの要件によって DAG にバックアップ専用の IP アドレスを追加することができません。

 

・DAG に対して割り当てる IP アドレスは MAPI ネットワークというネットワーク上にある必要がある。

・DAG 構成では MAPI ネットワークを複数持つことが出来ない。

( 注 : サイトを跨いだ DAG の場合、各サブネットに 1 つずつ DAG 用の IP アドレスを保持できます。)

 

MAPI ネットワークを複数設けた場合でも、スイッチオーバーやスイッチバック、Outlook からの接続等は、問題なく行うことが出来ます。しかし上述の通り、他セグメント上のサーバーや他サイトの DAG とも通信を行うためのネットワークであるため、ゲートウェイの問題を含め、様々な理由で複数ある状態は構成としてサポートされない状況となっております。

 

 

2. 「どのようにバックアップをとれば良いのか」という点について説明します。

 

バックアップを取得する対象についてですが、Exchange Server 2010 の構成情報は、Active Directory 上に保存されていますので、基本的にバックアップの対象となるのはデータベースとなります。DAG では全てのノードがアクティブである為、各ノードが保持するデータベースからバックアップを取得すれば問題ございません。

 

つまり、”バックアップ取得の為に、専用の IP アドレスを追加する必要は無い”ということになります。

 

ここで一例としてWindows Server Backup によるバックアップを以下にご紹介します。

 

<参考> Windows Server バックアップを使用した Exchange のバックアップ

https://technet.microsoft.com/ja-jp/library/dd876854.aspx

 

Windows Server Backup によるバックアップ取得では、制限事項としてアクティブ (またはスタンドアローン) のデータベース コピーのみ Exchange 対応バックアップを採取できます。今回は DAG 環境ですべてのノードがアクティブなので、問題なくバックアップを取得することが可能です。

 

  ~まとめ~

「DAG 環境でバックアップ専用 IP アドレスを設定できない」件についての弊社の見解は、以下 2 点となります。

 

・バックアップ専用のものに限らず IP アドレスを追加することは、DAG 構成の要件上 "サポート対象外" である!

・DAG 環境のバックアップは、各ノードが保持するデータベースから取得することが可能である!

 

繰り返しになりますが、Exchange Server 2010 の DAG 環境においてバックアップの計画を立てる場合は、バックアップ専用の IP アドレスを設定することなく、各サーバーのデータベースよりバックアップを取得いただく運用をお願いいたします。

 

以上、本情報がお役に立てば幸いでございます。

 

※以下参考 URL 

<参考> バックアップ、復元、および障害回復

https://technet.microsoft.com/ja-jp/library/dd876874.aspx

 

<参考> Windows Server バックアップを使用して Exchange のバックアップを復元する

https://technet.microsoft.com/ja-jp/library/dd876864.aspx

 

<参考> Exchange Server 2010 可用性ガイド ホワイト ペーパー

http://download.microsoft.com/download/5/2/2/5229EFB4-65BE-450D-B18A-4BBAF5519EDF/exchange2010_availability.doc