ストレージ 共有ディスクを複数ホストでご利用いただく際の注意事項

こんにちは。Windows テクノロジー サポートの服部です。

“物理サーバーに外部接続された SAN ストレージ上のディスクを、複数ホスト サーバーから共有ドライブとして使用したい。”というお問い合わせをいただく事がございます。

このような要件でストレージをご利用いただく際の一般的な注意事項をお話させていただきます。

注意事項1.
--------------

Windows OS では、一つのボリュームを複数のシステムから同時にマウントして使用することをサポートしておりません。

例えば、共有ディスクとして SAN ストレージ上のディスクを使用する際、ディスク装置上のマッピングは複数のホストに実施しどのノードからもアクセス可能状態と設定します。

この際、気にするべきポイントは各ファイル システムから同時にディスクへアクセスさせてはいけないという点です。

複数のホストから同時にボリュームをマウントして使用した場合には、各サーバーによる操作の整合性が取れず、ファイル システムの不整合が発生し、ディスク上のデータ破損などが発生する可能性があります。

参考資料 :
文書番号: 816307
Windows Server 2003 ベースのコンピューターでのダイナミック ディスクの使用に関する推奨事項
https://support.microsoft.com/kb/816307/ja

抜粋 :
Windows では、1 つのディスク ボリュームを複数のホストで同時にマウントすることは サポートされません。
この制限は、ベーシック ディスク上またはダイナミック ディスク上に配置されたボリュームに対して適用されます。

注意事項 2.
--------------

Windows Server 2008 R2 以降、"自動マウント (Automount)" 機能が既定で有効になっており、無効にすることは推奨しておりません。

ボリュームのディスマウントは mounvtol <ドライブ レター> /P コマンドで行うことができますが、システムを再起動すると自動マウント機能により再マウントされた状態になります。

ドライブ レターはアサインされていない状態になりますが、ファイル システムとしてはマウントされた状態になりますので、アクセスを完全にブロックすることができません。

自動マウント機能を切る (*) こともできますが、こうするとシステム予約領域 (ディスクの先頭の 100MB の領域です) も再起動後にマウントされなくなるため、推奨いたしません。

参考資料 :
自動マウント機能が無効化されている事でシステム予約領域がマウントされず、リストアに失敗した事例です。

文書番号: 2796371
Windows Server 2008 R2 で自動マウント機能が無効な場合にベア メタル回復のリストア時にエラー 0x80042302 が発生しリストアに失敗する
https://support.microsoft.com/kb/2796371

ディスクの排他制御を行うため、一つのホストでボリュームをオンラインにした場合もう一方のサーバーでは、ディスクをオフライン状態とします。こうしていただくことで、ディスクは不活性状態になります。

排他制御の目的とは、データの一貫性と独立性を確保する事ですので、ディスクをオフラインとしなくてもボリュームのディスマウント(または HBA デバイス無効化等)を実施しておけば、排他制御としては十分ではないかとお考えになると思いますが、Windows Server 2008 R2 以降、"自動マウント (Automount)" 機能が既定で有効になっておりますため、ストレージがオンライン状態で起動しますとシステム上に新規のボリュームが検出されると自動的にマウントし、ドライブ レターを割り当てます。

このため、起動時の状況によっては複数ホストによる同時マウントが発生し、ファイルシステムの障害の要因となることが考えられます。

..補足..

Windows Server 2008 R2 では Automount の無効は推奨されないため、ディスクのオンライン/オフラインは“SAN ポリシー”で制御されます。

Windows Server 2008 R2 の Standard Edition では、既定では検知されたディスクを自動でオンライン状態にする設定になっています。

Windows Server 2008 R2 の Enterprise Edition 以上では、既定のポリシーは OfflineShared です。このケースではブート ディスクの他に、共有バス上にないディスクはオンラインになります。既定では、オフライン ディスクは読み取り専用になります。

SAN ポリシーは、diskpart の SAN コマンドにて確認することができます。

参考資料 :

San
https://technet.microsoft.com/en-us/library/gg252636(v=ws.10).aspx

文書番号: 973834
<英語原文>
Microsoft Hyper-V Server SAN policy is set to automatically mount volumes on startup
https://support.microsoft.com/kb/973834/en-us
<機械翻訳>
Microsoft Hyper-V サーバーの SAN このポリシーを起動時に自動的にボリュームをマウントする] に設定します。
https://support.microsoft.com/kb/973834/ja

注意事項 3
--------------

Server サービスの起動時に対象のドライブがマウントされていないと共有設定が再生成されない場合があります。

ディスク上に、例えば共有フォルダを作成した場合、Server サービスによってその共有設定の情報が管理されます。

共有アクセス権の情報は、レジストリに格納されており、Server サービスは起動時にこのレジストリを読み込む動作をします。

手動でディスクのオンラインを実施する際、ストレージのマウントが完了する前にServer サービスが起動してしまうと共有設定が消えてしまう状況が発生する場合があります。

この場合は Server サービスの再起動によってこれまでに設定した情報を再度読み込む事で共有アクセス権を再認識させる事が可能です。

参考資料 :
文書番号: 870964
コンピューターの起動時に iSCSI デバイス上のファイル共有再作成しません。
https://support.microsoft.com/kb/870964/ja

当コンテンツがお客様のお役に立てば幸いです。